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福岡高等裁判所 昭和36年(ネ)905号 判決

理由

原判決認定の冒頭の事実と本件衝突事故が大坪昭房の過失に基づくものであることについては、原判決の記載(原判決五枚目表八行以下六枚目表一二行まで)を引用する(ただし、六枚目表一行の「右乗用車」を「自己の運転する乗用車」に改める。)。

控訴組合は本件衝突事故後の昭和三四年一月二九日設立登記を終えて成立したものであることは当事者間に争いがないので、本件衝突事故は、大坪昭房が控訴組合の被用者として、同組合の事業の執行について惹起したという被控訴人らの主張は理由がない。しかし、(証拠)を総合すれば、控訴組合は昭和三三年七月設立され、その理事は合資会社寺崎組の代表社員寺崎米作(控訴組合成立以来の代表理事)、株式会社野中建設の代表取締役野中惣一、株式会社高柳組の代表取締役高柳幸男の三名で、右三会社を組合員とするものであること、本件事故を惹起した乗用車は右野中建設の所有であるが、野中建設は事実上活動していた控訴組合に対し、同組合がその事業に使用するローラーを購入するために、同自動車とその運転手である大坪昭房とを同組合の使用に提供したところ、本件事故は前示寺崎米作、高柳幸男の両名が提供を受けた右乗用車に同乗し所要をもつて福岡市に行つての帰途に発生したものであること、被控訴人らは本訴の前野中建設を相手取り、本件事故による損害賠償請求の訴を提起したところ、控訴組合成立後において、同組合の代表理事を含む全理事において、本件事故に基づく事件の一切は、控訴組合において責任をもつて解決することを被控訴人両名に確約したため、被控訴人らにおいて訴を取下げ、控訴組合を相手として本訴を提起したことの各事実を認めることができ、これに反する証拠はない。

したがつて、控訴組合合は、本件事故によつて被控訴人らが被つた損害を賠償しなければならない。(以下省略)

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